ハンドメイドの開業届

こんにちは。
ハンドメイド作家のすずです。
今回のテーマはハンドメイドの開業届です。
だんだん売り上げが増えてきた作家さんの中には「開業した方がいいのかな?」と悩んでいる方もいるかと思います。今回はそんな作家さんのために、開業届の出し方や開業のメリットデメリットについてお話していきます!

開業ってなんかかっこいい…
開業とは?
開業とは簡潔にいうと「新たな事業を始めること」です。一般的には税務署に開業届を出して、個人事業主として正式に事業を始める時に使う言葉です。
年間利益(売上-経費)が20万円を超えてくると確定申告が必要になってきますから、そのタイミングで開業届を出すと分かりやすくていいですね。もちろん「これから作家活動始めるぞ!」という時に開業届を出しても問題ありませんよ。
開業するメリット
それでは早速、開業するメリットからあげていきます。
材料費を経費に計上できる
ハンドメイドでの収入が該当する事業所得では、確定申告の際の経費計上が認められています。材料費やアトリエとして使っている部屋の家賃、光熱費などを経費として計上できます。
会社勤めの人はよく間違えて解釈しているのですが、経費というのは「国から無限にもらえる助成金」ではなく、自分のポケットマネーから出します。経費にすることで税金の対象となる所得からその分を引くことができるのでその結果支払う税金を減らせるよ、ということなのです。
つまり売上が少ないのに経費ばかり使っていては、手元にお金は残りません。誰からもお金はもらえないのです(笑)
ちなみに、開業届を出す前にかかっていた経費は開業費として計上することもできます。レシートや納品書があれば取っておきましょう。
青色申告の特別控除を受けられる
開業届と一緒に「青色申告承認申請書」を提出していれば、確定申告する際に青色申告控除を受けられます。

えっと…なにそれ?
青色申告にすることで、基礎控除48万円に加え最大65万円の控除が得られます。分かりやすくいうと、タダで65万円を経費のように所得から引くことができるのです。これって凄くありがたいですよね。
青色申告承認申請書を提出していないと、自動的に白色申告になります。白色申告だと基礎控除48万円しか受けることができませんから、少しでも払う税金を減らしたい方は必ず青色申告承認申請書を提出しましょう。基礎控除と合わせて113万円控除はかなり大きいです!
繰越損失ができる
開業届と青色申告承認申請書を出すことで、事業で赤字が出てしまった場合、その金額を翌年以降(最長3年間)繰り越せる制度があります。噛み砕いて説明すると、翌年以降黒字化して所得が発生した場合に、その金額から赤字の損失分を差し引いて節税することができるということです。
繰越損失の適用を受けるためには、確定申告の際に損失申告というものを行う必要があります。
屋号名義で口座を作れる
開業届を出すことで、銀行口座を屋号(ブランド名)名義で開設できるようになります。銀行払いで作品を購入するお客様にとって、口座名義が屋号だと信頼感が増しますよね。

口座が屋号だとやる気出るよね
開業するデメリット
次は開業するデメリットです。
扶養から外れる場合がある
扶養されている人(被扶養者)が個人事業主になることで、扶養している人が加入している社会保険によっては、被扶養者の資格条件から外れる可能性があります。
扶養から外れた場合は、国民健康保険に加入して自分で保険料を納付しにいかなければならなくなります。扶養されている方は開業届を出す前に、被扶養者の資格条件をしっかり確認しておきましょう。
帳簿付けが必要になる
開業届を出し個人事業主になると、お客様とのやりとりや仕入れなど事業に関わる取引は全て帳簿に記載し保存しなければなりません。
初めは何がなんだか分からず難しく感じると思いますが、やってるうちに慣れてきますし、簡単に帳簿作成できるサービスもたくさんあるので心配する必要はありません。
開業届の出し方
それでは、開業届の出し方を解説していきます。
提出する日
開業届は、開業した1ヶ月以内に所轄の税務署へ提出しなければなりません。ハンドメイド作家さんであれば、このタイミングは好きに決めても問題ないと思います。私は仕事を辞めたタイミングとちょうど重なったので、分かりやすく1月1日で提出しましたよ。
開業届を出す時は、青色申告承認申請書も一緒に提出しましょう。開業届するメリットの項目でお話したように、青色申告をすることでさまざまな控除や制度が利用できます。
青色申告承認申請書は青色申告の対象となる年の3月15日までに税務署へ提出しましょう。ただし事業開始日がその年の1月16日以降であれば、事業開始日から2ヶ月以内に提出が必要です。

開業したら早めに出すってことだね
提出する場所
開業届は納税地を所轄する税務署に提出します。ハンドメイド作家さんであれば、ほとんどの方が自宅の住所地を所轄する税務署に提出することになります。国税庁のWebサイトでお近くの税務署を調べてみてくださいね。
提出方法
開業届を提出する方法は3つあります。
- 税務署の窓口に持っていく
- 税務署に郵送する
- e-Taxソフトで提出する
税務署の窓口に持っていく
窓口に直接提出する際には、控えも作成して持参しましょう。窓口で原本と控えを提出し、受付印の押された控えを返却してもらいます。青色申告する場合は青色申告承認申請書も一緒に提出します。
また、本人確認書類としてマイナンバーカードと印鑑も持っていきましょう。マイナンバーカードが無い場合は「番号確認書類」と「身元確認書類」を合わせて持参します。
- 通知カード
- 住民票の写しまたは住民票記載事項証明書
- 運転免許証
- パスポート
- 公的医療保険の被保険者証

マイナンバーカードないとちょっと大変だね
税務署に郵送する
窓口で提出する場合と同様に控えも用意する必要がありますが、それに加えて返信用封筒も同封します。この返信用封筒には自分の住所と名前を書いて切手を貼っておきます。
本人確認用書類はそのまま郵送するのは危険なので裏表をコピーしたものを同封します。つまり郵送で提出する場合は
- 開業届
- 開業届の控え
- 本人確認書類のコピー
- 返信用封筒
を用意することになります。青色申告する場合は青色申告承認申請書も忘れずに。
e-Taxソフトで提出する
e-Tax(電子申告)での提出では、ソフトのダウンロードやICカードリーダーライターなどが必要になるため、少し手間がかかります。そしてマイナンバーカードの用意が必須になります。
どうしても窓口に行けない方や郵送じゃ不安という方は調べてみてくださいね。
開業届の書き方
開業届は最寄りの税務署の窓口や、国税庁のサイトからダウンロードできます。書き進めるうちに「ここは何を書いたらいいの?」という項目が出てくると思いますので、一通り解説します。

助かる〜!

税務署
○○税務署の○○部分は、先程お話したとおり納税地を所轄する税務署を書きます。
国税庁のWebサイトで検索できます。
納税地
ハンドメイド作家さんは自宅で制作している方がほとんどでしょうから、「住所地」にチェックをいれて住所を記入します。
賃貸物件にお住まいの場合、事務所利用不可の物件だとその住所で開業できない可能性があります。物件を管理している方に確認してみてください。
氏名
作家名ではなく本名を書きます。
職業
「ハンドメイド作家」で問題ありません。心配な方は「小売業」と書きます。
屋号
活動していくブランド名を書きます。決まっていない場合は空欄でも提出できますし、決めた屋号をあとから変更することもできます。
届出の区分
「開業」にチェックを入れます。下の住所は書く必要はありません。
所得の種類
「事業(農業)所得」にチェックを入れます。
開業・廃業日等
原則開業届は開業してから1ヶ月以内に出すものなので、1ヶ月以内の日付を書きます。自分で好きな日を決めましょう。
開業・廃業に伴う届出書の提出の有無
基本的には青色申告承認申請書の欄には「有」にチェックを、下の欄は「無」にチェックを入れます。青色申告はとてもお得な制度なのでぜひ取り入れましょう。
事業の概要
「アクセサリー制作・販売」など、何をするのかを記載していれば問題ないと思います。
給与等の支払の状況
人を雇う予定がなければ空欄で問題ありません。
ざっと解説しましたが、分からない場合は税務署の職員さんに教えてもらいながら記入すれば大丈夫です(笑)

優しく教えてもらえるはず
【ハンドメイドの開業届】まとめ
いかがでしたか?
長々と書きましたが、開業するためにやることはシンプルに
- 開業届を書く
- 開業届を提出する
この2つです!
あまり難しく考えず、「ハンドメイド頑張るぞ!」と思ったタイミングで気軽に提出してみてくださいね。